「Codex の待ちを減らすには、利用枠を多く使う Fast に切り替えるしかないのか」。
10月6日、OpenAI の Codex 担当 Tibo 氏が、ChatGPT の契約で使う GPT-6.1 Sol と GPT-6 Astra の標準の速さを、設定変更なしで約50%上げたと投稿しました。
i-Style で9月30日と同じ作業を測り直すと、待ち時間は約4割減。短い依頼なら Fast にしても待ちはほぼ縮まず、標準で足ります。
先にまとめ
10月6日未明(日本時間)から、ChatGPT の契約で使う Codex(OpenAI の、プログラムを書かせる AI)の GPT-6.1 Sol と GPT-6 Astra が、設定を変えずに速くなりました。根拠は担当者の X 投稿だけで、公式の更新履歴には10月6日8時47分の時点でまだ載っていません。
i-Style で9月30日と同じ課題・同じ依頼文で走らせ直すと、GPT-6.1 Sol の待ち時間は9本の合計で約4割短くなりました。手元の記録では、AI が1秒間に書き出す量(以下、1秒あたりの出力)は、同じ時間帯どうしで約1.4〜1.5倍です。
正解の数は大きく変わりませんでしたが、GPT-6.1 Sol が1回だけ、金額をマイナスと読み違えました。
Fast(利用枠を2.5倍使う設定)は、短い依頼で試すと1秒あたりの出力が標準の約1.4倍になっても、1回の待ちはほとんど変わりませんでした。短い依頼なら標準のままで足り、ファイルを読ませる長い作業は、1本 Fast で比べてから決めます。
今回は、28日間続く改善の企画の1日目です。答えの分かっている例を1つ残し、自社の作業で確かめ続けるのが当面の使い方です。
速くなったのは、ChatGPT の契約で使う GPT-6.1 Sol と GPT-6 Astra
Tibo 氏の投稿は日本時間10月6日の午前2時20分で、前日に本人が告知した企画の1日目にあたります。中身は「契約(subscription)を通した GPT-6 Astra と GPT-6.1 Sol の標準(default)の速度を、約50%速くなるよう最適化した」というものです。2時間以内に反映し、利用者が設定を変える必要はないとも書いています。
GPT-6.1 Sol は9月29日に公開された、Codex で勧められているモデルです。GPT-6 Astra は、9月3日に発表された上位のモデルです。
本人は続きの投稿で、出力が毎秒30トークンから50トークンになったと補足しています。トークンは、AI が文章を数えるときの単位です。
対象は OpenAI の製品すべてと、「ChatGPT でサインイン」という仕組みを使う提携先です。ChatGPT のアカウントでログインし、契約の利用枠で動く他社のアプリのことで、OpenCode・Pi・Amp・Devin の名前が挙がっています。
Codex は、ChatGPT の契約のほか、従量課金の API キーでも使えます。今回の投稿は「契約を通した」とだけ書いており、API キーで使うときにも速くなったのかは、公式も本人も書いていません。
マメ
うちは3人が ChatGPT の Business で Codex を使っています。そのうち1人は、別の開発ツールにも API キーでつないでいます。速くなるのはどれですか。
ホク
ChatGPT のアカウントで Codex に入っている3人分は、投稿の言う「契約を通した」使い方に当たり、設定も要りません。ただ、i-Style が測ったのは Pro 100(月100ドルのプラン)の契約で、Business で同じだけ速くなるかは確かめていません。
マメ
API キーでつないでいる1人分はどうですか。
ホク
今日の時点では分かりません。気になるなら、前に頼んだのと同じ依頼をもう一度出して、かかった時間を比べてみるのが手堅いです。
今回の高速化は、公式の文書にはまだ出ていません。10月6日8時41分に Codex の更新履歴、ChatGPT のリリースノート、速さの設定の説明を確かめると、どれにも載っていませんでした。いま根拠になるのは、本人の投稿だけです。
9月30日と同じ作業を測り直した。GPT-6.1 Sol の待ち時間は約4割減
Tibo 氏の投稿のほかに根拠が無いので、手元で測り直しました。i-Style では9月30日、OpenAI の開発者向け発表会(DevDay)を受けて、経理の小さな課題3つを、Codex の3つのモデルに解かせていました。
頼んだのは、金額欄の文字を数字にする関数、支払条件から支払期日を出す関数、請求書の合計が合わない不具合の修正です。採点には、答えの分かっている隠しテスト(金額49問・支払期日30問・不具合の修正13件)を使いました。課題は、以前の記事で Claude Code の考える深さ(effort)の設定を比べたときに作ったものです。
10月6日の朝、9月30日と同じ依頼文・考える深さ(medium)・同時に走らせる組み方で、21本走らせ直しました。契約は ChatGPT の Pro 100(月100ドル)、速さの設定は標準のままで、Fast は使っていません(細かい条件は記事の最後に書いています)。
表で見るのは右端の列です。発表の対象外の GPT-6 Sol(3行目)と比べて、GPT-6.1 Sol がどれだけ多く縮んだかを見ます。
| モデル(本数) | 9月30日(午後) | 10月6日(朝) | 合計時間の変化 |
|---|---|---|---|
| GPT-6.1 Sol(9本) | 2,376秒(1本平均264秒) | 1,447秒(1本平均161秒) | 約39%短い |
| GPT-6 Astra(3本) | 616秒(1本平均205秒) | 486秒(1本平均162秒) | 約21%短い |
| GPT-6 Sol(9本・発表の対象外) | 1,595秒(1本平均177秒) | 1,341秒(1本平均149秒) | 約16%短い |
GPT-6.1 Sol の約39%は、発表の対象外の GPT-6 Sol の約16%より、はっきり大きい数字です。GPT-6 Sol は今日の出力が約8%少なかったので、それを割り引くと約1割の差で、時間帯(9月30日は午後、今日は朝)と Codex のコマンド版の更新(0.159.2→0.160.0)で、このくらいは出ると見ています。
課題を1つ解かせる1回あたりの待ちは、GPT-6.1 Sol で平均約4分半から約2分40秒になりました。
GPT-6 Astra は3本しか走らせておらず、支払期日の課題では184秒から206秒へ、逆に長くなりました。出力が約4,500トークンから約7,500トークンに増えた回です。Astra の差が本当に速くなった分かどうかは、走らせた本数が少ないので言い切れません。
1秒あたりの出力は約1.4〜1.5倍。「約50%速い」は「待ちが半分」ではない
待ち時間には時間帯などの差も混ざるので、1秒あたりの出力でも比べました。手元の Codex の会話記録で、今朝と同じ日本時間6〜12時の応答(GPT-6.1 Sol・出力1,000トークン以上)を比べると、1秒あたりの出力の中央値は29.6トークン(変更前・378回)から43.5トークン(変更後・12回)で、約1.5倍です。Fast の章で走らせた標準5回を除くと41.1トークンで、約1.4倍になります(数え方は記事の最後に書いています)。
Tibo 氏の「約50%」と、補足の「毎秒30→50トークン」は、厳密にはそろっていません。30から50は約67%増です。米国の技術メディア The New Stack も、30→50を文字どおりに取れば増え方は3分の2に近く、どちらも測定結果というより概算に見える、と書いています。
「約50%速い」は、待ちが半分になるという意味ではありません。速さが1.5倍なら、同じ量を書き出す時間は3分の2、つまり約3割減です。前の章の約4割減はそれより少し大きく、時間帯と、Codex のコマンド版の更新による差が混ざっていると見ています。発表の対象外の GPT-6 Sol も、出力の量の違いを割り引くと約1割速くなっていました。
海外の掲示板には、公開当初の速さに戻っただけで、新しい改善ではなく壊れていたものを直しただけではないか、という声もあります。手元の記録で、時間帯を区切らずに数えた10月1日から5日の日ごとの中央値は毎秒24〜28トークン前後で、今朝の値は、その期間のどの日よりも高くなっています。GPT-6.1 Sol の公開直後の記録はほとんど無いので、公開直後と比べてどうかは分かりません。
手元では速くなっていますが、GPT-6.1 Sol は遅いという報告もあります。OpenAI の開発者フォーラムでは、自作の課題で作業時間を測った利用者が、GPT-6.1 Sol は GPT-6 Sol より大幅に時間がかかったという1回分の結果を載せています。翌朝に測り直すとも書いており、速さの体感は人によって割れています。
品質は落ちたのか。正解の数は大きく変わらず、ただし1回だけ金額をマイナスと読み違えた
速くなったと聞くと、中身を落としたのではないかと気になります。Reddit や X には、速さのためにモデルを軽くしたのではと疑う書き込みや、Astra が急に賢くなくなったという書き込みがあります。どれも利用者の自己申告で、根拠は示されていません。
i-Style の隠しテストでは、金額と不具合の修正の正解数はほぼ同じでした。3回走らせた合計で見ると、GPT-6.1 Sol は金額が147問中140問から139問、不具合の修正が39件中30件のままで、支払期日だけが90問中83問から78問に下がりました。落ちた5問は、誤った値ではなく「読めない」で止まった問題です。Astra と GPT-6 Sol は、1問前後の差でした。
引っかかったのは、GPT-6.1 Sol の金額の1回目です。「¥12,345-」のように末尾にハイフンが付いた金額の4問で、マイナスの値を返しました。末尾の「-」は、後から数字を書き足されないように付ける記号で、マイナスではありません。
9月30日は、外した問題がすべて「読めない」として止まり、誤った値を返した問題は0でした。今日も2回目と3回目は誤った値0です。3回中1回なので、速さの変更と関係があるのかは分かりません。
経理の数字を AI に扱わせる場面では、止まるより、黙って違う値を返されるほうが怖いです。速くなっても、答えの分かっている例で確かめる工程は外さないほうがよいと見ています。
Fast は要るのか。短い依頼では1回の待ちがほとんど縮まず、標準で足りる
Codex の速さには、標準・Fast・Ultrafast の3つの設定があります。Fast は GPT-6.1 Sol などで使え、Plus・Business・Pro のどれでも選べます。そのかわり、契約の利用枠が標準の2.5倍のペースで減ります。Fast にすると、Plus と通常の Business では5時間ごとの利用の目安に早く届きます。Pro には今はこの目安がありません。
Ultrafast はいまは GPT-6 Astra 専用で、使えるのは Pro 500(月500ドル)と一部の Enterprise・Edu です。枠は8倍のペースで減ります。
公式は、この倍率は枠の減り方で、速さの倍率ではないと書いています。GPT-6 系で Fast にすると何倍速くなるのかは、説明ページに書かれていません。
そこで、コマンドの実行やファイルの読み込みをさせない同じ依頼(経費精算の CSV を集計するスクリプトを書かせる)を、GPT-6.1 Sol・考える深さ high で、標準で5回、Fast で3回出しました。表では、1行目の1秒あたりの出力が上がった分だけ、2行目の1回の待ちが縮んだかを見ます。
| 見たもの | 標準(5回) | Fast(3回) |
|---|---|---|
| 1秒あたりの出力(トークン) | 43.5〜48.1 | 57.6〜67.4 |
| 1回の待ち(打ってから終わるまで) | 54〜63秒 | 45〜58秒 |
| 出力の長さ(トークン) | 1,839〜2,007 | 1,814〜2,589 |
1秒あたりの出力は、Fast で約1.4倍でした。ただ、コマンドを打ってから終わるまでの時間は、ほとんど変わっていません。毎回16〜21秒ほど起動などの待ちがあり、Fast の2回は出力も長めだったためです。
Fast に切り替わったかは記録に表示されず、1秒あたりの出力の差で判断しています。海外の掲示板には、欧州から Pro 200(月200ドル)で GPT-6.1 Sol を測り、標準が毎秒27.66トークン、Fast が43.94トークンだったという報告もあり、環境で数字は変わります。
1回の依頼が短い使い方なら、標準のままで足ります。経理の課題のように、ファイルを読ませて作らせる長い作業は、9月30日と比べて約4割縮んだとおり、1秒あたりの出力が効く作業です。Fast でさらに縮む余地はありますが、この作業は Fast では測っていません。利用枠を2.5倍使う価値があるかは、長い作業を1本 Fast で走らせて比べてから決めます。
標準の速さが上がると、同じ時間で多く頼めるので、利用枠の減りが早く感じるのでは、という議論もあります。公式は1回あたりの枠の減り方を変えたとは書いておらず、i-Style でもそこは測っていません(枠の仕組みはCodex の制限の記事で整理しています)。利用枠をはっきり多く使うのは、Fast に切り替えたときのほうです。
すでに Fast にしているなら、標準に切り替えるだけで、枠が2.5倍のペースで減ることはなくなります。コマンド版では /fast で切り替えられ、法人の契約では、管理者が既定の速さや Fast を使えるかを決めておけます。
「28日間、毎日改善かリセットを1つ」の企画の1日目。毎日の変化を自社の作業で確かめる
速さの設定は、この先の28日間でまた変わるかもしれません。Tibo 氏は日本時間10月5日の告知で、今後28日間、毎日「Codex や Work の大半の利用者に関係する、はっきりした改善を1つ出す」か「full reset(全部のリセット)を出す」としています(Work は ChatGPT Work のことです)。何を元に戻すのかは、本人が説明していません。
毎日何かが変わる28日間は、手元に「同じ作業」を1つ置いておくと、変化を自分の数字で確かめられます。i-Style では今回、9月30日の課題と隠しテストが残っていたので、反映から数時間で比べられました。
中小企業でやるなら、毎週頼む作業を1つ決め、依頼文と答えの分かっている例を保存しておきます。たとえば請求書の合計を出させるなら、依頼文と、手で確かめた正しい合計を数件ぶん同じフォルダに残します。「¥12,345-」のように読み違えやすい書き方を1つ混ぜておくと、今回のような読み違いにも気づけます。かかった時間と結果を表に1行ずつ足していけば、発表のたびに、その効き目が自社の作業に出たかを確かめられます。X では、作業ごとの速さを画面に出してほしいという海外の利用者の声も出ています。
まとめ:設定はそのまま、確かめる例を1つ残す
10月6日未明、Tibo 氏が、ChatGPT の契約で使う Codex の GPT-6.1 Sol と GPT-6 Astra を速くしたと投稿しました。i-Style の実測では、GPT-6.1 Sol の待ち時間は約4割短くなり、1秒あたりの出力は約1.4〜1.5倍でした(Astra は3本だけで言い切れません)。
設定を変える必要はなく、短い依頼なら Fast に切り替える理由も、今のところ大きくありません。長い作業で迷うなら、1本だけ Fast で走らせて比べてから決めます。ただ、速くなった日に、金額をマイナスと読み違える回が1度出ました。答えの分かっている例を1つ手元に残し、28日間の変化を自社の作業で確かめていく。当面はこの使い方で十分と見ています。
確かめた資料と、まだ試せていない API キー・Ultrafast・提携先のアプリでの速さ
発表は Tibo 氏の X 投稿(1日目・30→50の補足・企画の告知)から、公式の説明は Codex の速さ・料金・モデル・ChatGPT でサインインの各ページと、提携アプリで契約を使うヘルプから取りました。反応は The New Stack、Reddit、OpenAI 開発者フォーラム、X の返信から取り、どれも10月6日に確認しています。
9月30日との比べ直しは、10月6日の8時48分から8時56分に走らせました。まず3つのモデルの1回目の9本を同時に、次に GPT-6 Sol と GPT-6.1 Sol の2回目・3回目、合わせて12本を同時に走らせています(9月30日と同じ組み方)。端末は Mac mini、Codex のコマンド版は 0.160.0(9月30日は 0.159.2)です。
1秒あたりの出力は、10月1日から6日の会話記録のうち GPT-6.1 Sol・考える深さ high・標準の速さの応答について、出力トークン数と応答の始まりから終わりまでの秒数を1回ずつ抜いて数えました(中身は読んでいません)。最初の1文字が出るまでの待ちも含みます。変更後の12回のうち5回は Fast の章の標準5回で、それを除く7回の中央値は41.1トークンです。Fast の章の計測は、10月6日の8時43分から9時12分の間です。
試せなかったことは5つです。API キーで使うときの速さ、利用枠の減り方、Ultrafast、提携先のアプリ(OpenCode・Pi・Amp・Devin)での速さ、Pro 100 以外の契約(Plus や Business)での速さです。
i-Styleに相談する
i-Styleの「まるっとAI」では、AI活用支援のひとつとしてお手伝いできます。始めやすいのは次の2つです。1つは、どの作業を測る対象にするか、答えの分かっている例をどう作るかを一緒に決めること。もう1つは、Codex に任せる作業と、人が確かめる作業を分けることです。
お問い合わせページへ arrow_forward相談するほどでもなければ、右下のチャット窓口で「うちの作業のうち、Codex に任せられるのはどれか」を聞くところからでも十分です。
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