「Claude Code の effort は、いちばん上の max にしておけば、いちばんいい仕事をしてくれるのでは」。
Anthropic は米国時間9月25日、Claude Code の effort(Claude が考える手間の段階)の使い分けを、開発者向けブログで解説しました。
i-Style の見立てでは、Opus 5.5 なら普段は既定の medium のまま使い、作ったものを確かめる段だけ high に上げれば足ります。経理の小さな道具3つを5段階で作らせた手元の試験では、low でも正解は9割以上で、max は1回にかかる時間が、課題ごとの平均で low の10倍以上でした。
先にまとめ
effort は low から max までの5段階で、Claude Code の中で /effort と打てば変えられます。上げると増えるのは、確かめる作業と、Claude が自分で決める量です。
手元の試験(5段階×3回)で low が落としたのは、「月末〆」のような書き方の違いでした。high 以上はほぼ満点でしたが、1回の時間は low の1分足らずに対し、max は最長48分。max は考えすぎて、出力の上限に当たって止まる回もありました。
Anthropic の検証でも、上げて効くのは例外の多い難しい仕事でした。やり方そのものの間違いは、上げても直りません。既定が high の Fable 5.1 などは今回試していないため、同じ手順で medium と比べてから決めるのが確実です。
effort で変わるのは、確かめる手間と、Claude が自分で決める量
effort は、Claude にその仕事へどれだけ手間をかけてほしいかを伝える目安です。Opus 5.5 は、考えるかどうかと、どれだけ考えるかを1歩ごとに自分で決めます。effort はその決め方の強さを変える設定です。
Anthropic の記事は、これを人への頼み方にたとえています。同じ仕事でも「12時間かけて」と頼まれたら、念入りに仕上げてほしいのだと受け取ります。「1時間で」なら、まず要件を満たすものを出し、あとで直していく前提で動きます。
どの段階でも、Claude は頼まれた仕事をまともにこなそうとします。記事の書き手は effort を、その上で Claude が確かめや例外のテストにかける量と、人に聞かずに Claude 自身の判断で進める量を調整する手段だと捉えています。
段階は low・medium・high・xhigh・max の5つです。何も設定しなければ、Opus 5.5 は medium、Fable 5.1 や Opus 5 など多くのモデルは high で動きます(9月28日に Claude Code の公式文書で確認)。
いちばん上の max について、公式文書は、難しい仕事では効くこともあるが、伸びが頭打ちになることがあり、考えすぎにもなりやすいので、広く使う前に試すように、と書いています。どの段階も、Claude が使う量(トークン)と賢さの引き換えだという説明で、高いほど良いとは書かれていません。
マメ
うちは5人で、Claude Code は定額プランで1人だけ使っています。effort は一度も触っていません。いまはどの段階で動いていますか。
ホク
モデルが Opus 5.5 なら medium です。画面上部のモデル名の横に「with medium effort」のように出ています。Fable 5.1 や Opus 5 なら high です。
マメ
定額なら料金は同じなので、全部 max にしておいたほうが得ではないですか。
ホク
請求額は同じでも、待つ時間は増えますし、使う量が増えるぶん利用上限の減りも早くなります。i-Style で試した小さな道具づくりでは、max は課題ごとの平均で low の10倍以上の時間がかかり、正解は low でも9割以上でした。まずは既定のままで困るかどうかを見るのが先です。
手元で試した:low でも正解は9割以上。上げて増えたのは時間だった
i-Style では、段階を上げると中小企業の規模の仕事で何が変わるのかを、手元で確かめました。9月28日、Max プランの Claude Code 2.1.283 で、Opus 5.5 に同じ依頼を low から max までの5段階で3回ずつ出しています。
課題は、経理で使う小さな道具にかかわる3つです。1つ目は、請求書や領収書の金額欄の文字を円の整数に直す部品です。2つ目は、「月末締め翌月末払い」のような支払条件と請求日から支払期日を出す部品です。3つ目は、請求書ごとの税込合計が会計ソフトと合わない原因を、既存のコードから探して直す作業です。
採点には、依頼文に書いた例(金額3問・支払期日1問)のほかは、Claude に見せていない問題を使いました。金額は49問で、全角の数字、▲のマイナス、1.5万円、金壱万円也、電話番号のように金額でないものなどを混ぜました。
支払期日は30問で、振替休日や2026年9月22日の国民の休日、年末年始、「〆」のような書き方の違いを入れました。直しの課題は、13件の請求書の合計で見ています。
| 段階 | 金額の読み取り | 支払期日 | 不具合直し | 1回の時間 | 定価換算 |
|---|---|---|---|---|---|
| low | 96% | 90% | 100% | 39〜55秒 | 0.52ドル |
| medium | 98% | 97% | 100% | 57秒〜3.6分 | 0.66ドル |
| high | 99% | 99% | 100% | 1.2〜7.7分 | 0.95ドル |
| xhigh | 99% | 100% | 100% | 2.7〜14分 | 1.64ドル |
| max | 99% | 100% | 100% | 7.4〜48分 | 4.15ドル |
正解の割合は、各課題を3回ずつ採点した合計です。時間は3課題9回のうち最短と最長、定価換算は Claude Code が出す見積もりの1回平均です。
定額プランで動かしたので、この金額は請求されていません。ただ、Claude が書き出した量(出力のトークン数)は1回平均で low の約3,700に対し max は約13万でした。定額プランでも、この差は利用上限の減り方に出ます。
low でも、正解は3課題とも9割以上でした。祝日、振替休日、国民の休日、年末年始の判定は、5段階とも全問正解です。不具合直しも、桁区切りの付いた金額の行を黙って読み飛ばす、軽減税率を無視する、Excel が書き出す形式の CSV で止まる、といった原因を low から全部見つけています。
段階で差が出たのは、人が書くときの揺れへの目配りでした。low が落としたのは「月末〆」「末締め」「20日締め、翌月10日支払い」「1.5万円」のような書き方です。high 以上は、自分で試験用のファイルを作って確かめてから終える回が多く、こうした揺れも拾っていました。
試験用のファイルを残した回は、low で9回中0回、medium で3回、high で7回、xhigh と max で9回ずつです。
xhigh と max が外したのは、「月額3,000円」を金額と読まなかった1問(3回中1回ずつ)だけです。これは、金額と読むかどうか判断が分かれる書き方でした。high はこれに加えて、支払期日の「月末〆翌月末払い」を3回中1回読めませんでした。
引き換えは時間です。1回の時間は、low がどの課題も1分足らずだったのに対し、high で最長約8分、xhigh で最長14分でした。medium から high に上げて増えた時間は、課題ごとの平均で1回あたり約17秒〜3分半です。max は不具合直しで7〜9分、支払期日で13〜16分かかり、金額の課題では37〜48分かかりました。
いちばん困ったのは max でした。金額の課題では、3回とも最初の1回の返事で長く考え込みました。
1回目と2回目は、約21〜22分考えたところで出力の上限(1回の返事で12万8千トークン)に当たり、何も書かずに止まっています。Claude Code が自動で続きを頼み直し、最初の1手(フォルダの中身を見る)を打てたのは、始めてから37分後と42分後でした。
1回にかかった時間は37〜48分、定価換算で1回約7〜8ドルです。公式文書にあった、考えすぎになりやすいという注意が、そのまま出た形です。
なお、1課題3回と少なく、1〜2問の差は偶然の範囲に入ります。3つとも、いまの Opus 5.5 にとってはやさしい部類の課題でした。Fable 5.1 では試していません。
上げて効くのは例外の多い仕事。Fable 5.1 では解釈の選び違いがむしろ増えた
Anthropic の記事は、書き手が自分で試した小さな課題に続けて、公開されている難しい課題集 Terminal-Bench 3.0 の結果を読み込んでいます。8ビットのゲーム機の回路設計や、数学の定理の形式的な証明、会社の月末の統計申告を最後まで回す、といった課題が並ぶものです。
結論は「effort を上げて効くのは、見えにくい例外が多い仕事」でした。分かりやすい例が、Web ページに紛れ込む悪意あるスクリプトを取り除く部品を作る課題です。Fable 5.1 は low で5回中1回、xhigh で5回中5回合格しました。
low の1回は約2分で、部品をほぼ一度で書き、手で書いたページ1枚で試して終わっていました。高い段階の1回は約33分かけ、自分の下書きをわざと意地悪く見直し、使っている部品の中身まで読み、既成の攻撃パターン集で試し、でたらめな入力を大量に作って流すところまでやっています。
分野ごとに見ると、伸び方がはっきり違います。Fable 5.1 の合格率を下の2段階と上の3段階でまとめて比べると、セキュリティが64%から87%、ハードウェアが34%から75%に上がりました。会社の事務手続きのような、決まりごとに沿って進める課題は12%から22%で、上げても低いままです。
ここで事務手続きの例に挙がっているのは、会社の月末の統計申告そのものを Claude に最後まで回させる課題です。経理で使う道具を作って確かめる、i-Style の試験のような仕事とは別物です。i-Style では、決まりごとに沿う仕事は、段階を上げるより、締め日や支払条件などの決まりを依頼文で先に渡すほうが効くと見ています。
Anthropic の記事は、失敗の中身も分けて数えています。Fable 5.1 の low と max を各370回で比べると、自分のテストが見逃した不具合は40回から14回に減りました。一方で、2通りに読める所で違うほうを選んだ失敗は、25回から47回に増えています(失敗の分け方は AI による判定で、おおよその数字)。
記事は、上げると Claude が自分の判断で決める部分も増える、と書いています。i-Style では、人に聞かずに進めるぶん、解釈の選び違いもそのまま最後まで進みやすくなると読んでいます。high 以上に上げるときほど、解釈が分かれそうな点は依頼文で先に決めておくか、作る前に Claude から質問させるほうが確実です。
記事も、そもそものやり方を間違えた失敗は effort を上げても直らない、と書いています。なお、これらの数字は Anthropic の社内での実行(1課題5回、Fable 5.1 は安全のための制御を外した状態など)で、公開の順位表とは一致しないと注記されています。
使い分けの目安は、作る段は low か medium、確かめる段は high
記事の書き手は、自分の使い分けを4段階で示しています。右の列は、i-Style が中小企業の仕事に置き換えた読み方です。xhigh は記事の目安に入っていないため、API の effort の文書の説明を載せました。
| 段階 | 記事の書き手が使う場面 | 中小企業の仕事なら(i-Style の読み替え) |
|---|---|---|
| low | すぐ返事がほしいとき。案出し、たたき台、簡単な直し | 文面の下書き、表の手直し |
| medium | 普段の開発の大半。新しい機能を作るとき | 社内の小さな道具づくり全般(Opus 5.5 の既定) |
| high | 確かめることが大事な仕事、例外が多い仕事。動いているコードの不具合直し | 作ったものを確かめる段。金額や期日が絡む処理を使い始める前の点検 |
| xhigh | (記事の目安には入っていない。API の effort の文書は、30分を超える長い作業向けとしている) | 長く任せきる作業 |
| max | 難しい問題を最後まで任せきるとき。アプリを作って確かめるまで、重要なソフトの弱点探し | 日常の業務では出番が少ない |
記事の書き手が新しい機能を作るときの回し方も、段階を途中で変える前提になっています。まず仕様を渡して、足りない点を Claude から質問させます。次に low で作らせ、方向が合っているかを自分で見て、必要なら low のまま直します。最後に high で確かめとテストをさせます。
記事の書き手は作る段を low にしていますが、i-Style の試験では low が「月末〆」のような書き方の揺れを落としました。Opus 5.5 なら、作る段も low に下げず、既定の medium のままにしておくのが無難だと見ています。
変え方は /effort。Opus 5.5 なら途中で変えてもキャッシュは残る
いちばん手軽なのは、Claude Code の中で /effort と打つことです。何も付けなければ段階を選ぶ画面が開き、/effort high のように段階名を付ければその場で切り替わります。/model でモデルを選ぶ画面でも、左右のキーで段階を動かせます。
選んだ段階は、そのモデルの既定として次の会話にも引き継がれます。その会話だけで使いたいときは、選ぶ画面で Enter ではなく s を押します(2.1.257 以降)。
max だけは、何もしなくてもその会話限りです。保存した段階を消してモデルの既定に戻すときは、/effort auto と打ちます。
起動するときに claude --effort high と付ける方法や、設定ファイルでモデルごとに決めておく方法もあります。スキルやサブエージェント(作業を手分けする補助役)の設定に effort を書いておくと、それが動くあいだだけ段階が変わります。
途中で変えるときに気になるのが、キャッシュ(一度読んだ会話を使い回す仕組み)です。多くのモデルでは、段階を変えると次の1回で会話を丸ごと読み直すため、Claude Code が確認を求めてきます。
Opus 5.5 と Fable 5.1(Fable 5.1 は Claude Code 2.1.260 以降)は、API キーか Claude の定額プランで使っていれば、既定では変えてもキャッシュが残り、確認なしで次の1回から切り替わります。Amazon Bedrock や Google Cloud 経由、社内の中継サーバー経由などでは当てはまりません。
1回だけ深く考えてほしいときは、依頼文のどこかに ultrathink と書く方法もあります。段階はそのままで、その1回だけ深く考えるよう指示が足されます。think hard(よく考えて)のような普通の言葉は、合図としては扱われません。
まとめ:Opus 5.5 なら既定の medium のまま、確かめる段だけ high
effort は、Claude が確かめる手間と、自分で決める量を変える設定です。Anthropic の検証でも i-Style の試験でも、上げて減ったのは例外の拾い漏れでした。Anthropic の記事は、上げて効くかどうかは、その仕事に見えにくい例外がどれだけあるかによる、と見ています。
自社サイズの一歩としては、普段頼んでいる仕事を1つ選び、low・medium・high で1回ずつ出して、結果と時間を並べてみることです。その前に、答えが分かっている例を5〜10件(書き方の違いや例外を混ぜて)用意し、Claude には見せずに結果と突き合わせます。i-Style の試験でも、見せない問題が段階の差を測る物差しになりました。
i-Style では、Opus 5.5 なら作るのは既定の medium のまま、作ったものを確かめる段だけ high に上げる形が現実解だと見ています。社内の小さな道具づくりなら、試験では medium でも正解は3課題とも96%を超えていました。max は、難しい問題を最後まで任せきる日のために取っておくくらいで、ちょうどよさそうです。
操作に直すと、作るあいだは既定のまま、確かめる段に入ったら /effort high と打ち(その会話だけにするなら、/effort とだけ打って開く画面で high に合わせて s を押す)、終わったら /effort auto で既定に戻します。毎回切り替えるのが手間なら、確かめ役のスキルやサブエージェントの設定に effort を high と書いておけば、それが動くあいだだけ上がります。
i-Style の試験では、medium から high に上げて増えた時間は1回あたり数分以内でした。high に上げるのを確かめる段だけに絞れば、待ち時間が延びるのはその段だけで済み、人が結果を見る時間も取れます。
確かめた資料は Anthropic の記事と公式文書3つ、手元の45回の実行
最後に、この記事の数字と引用の出どころをまとめます。原典は、Thariq Shihipar 氏が Anthropic の開発者向けブログ claude.dev に書いた 「Using Claude Code: Spending your effort」(米国時間2026年9月25日)です。
同じ内容が、書き手の X の投稿にも長文記事として載っています。図の数字の取り方を書いた注記と脚注は、ブログ版にしかありません。
段階の一覧・既定値・変え方は Claude Code の公式文書「Model configuration」、途中で変えたときのキャッシュは 同じく「Prompt caching」で、どちらも9月28日に確認しました。xhigh の説明は API の effort の文書から取っています。
手元の数字は、9月28日10時26分から11時28分にかけて、Mac mini の Claude Code 2.1.283(Max プラン)で Opus 5.5 を動かした45回の記録です。依頼は画面を使わない実行(claude -p --effort 段階名)で出し、普段の設定(全体の指示書やフック)を読み込んだまま、作業用の新しいフォルダ(不具合直しだけは、直す対象のコードと見本の CSV を置いた状態)で、十数本を同時に走らせました。定価換算は Claude Code が出す見積もりで、請求額ではありません。
i-Styleに相談する
i-Styleの「まるっとAI」では、AI活用支援のひとつとしてお手伝いできます。普段の依頼を1つ選んで段階ごとに試し、正解の数と時間を並べること。確かめる役のスキルにだけ effort を書き込むこと。この2つから始められます。
お問い合わせページへ arrow_forward相談するほどでもなければ、右下のチャット窓口で「自分の仕事ならどの段階がいいか」を聞くところからでも十分です。