「AI が書いたマークダウンの手順書を、Google ドキュメントで社内の人にそのまま直してもらえないだろうか」
AI に手順書や議事メモを頼むと、記号で見出しや箇条書きを表したマークダウン(拡張子 .md)のファイルで返ってくることがよくあります。Google は10月5日から、この .md を変換せずに Google ドキュメントで開いて、直したりコメントを付けたりできる機能を順に届けています。10月26日には開発者向けのブログでも、人と AI が同じ文書を直すための機能として紹介しました。
個人の Google アカウントでも会社の Google Workspace でも、設定は要らないと Google は案内しています。i-Style では個人のアカウントで10月30日に試し、直すこともコメントを付けることもできました。ただし保存すると、ファイルの一番上に書いた題名や日付の欄が見出しに変わるなど、中身の書き方が一部変わりました。
先にまとめ
Google ドライブに上げた .md は、Google ドキュメントの画面で開くと、記号を知らない人も普段の文書と同じように直せます。ファイルは .md のまま残り、写しも作られません。見出し・箇条書き・表・チェックリスト・リンクは、直して保存しても形が残りました(見出しが1つだけ普通の段落に戻った回があり、原因は分かっていません)。
一方で、保存すると .md の中の一部の記号が、Google ドキュメントが扱える形に書き換えられます。フロントマター(ファイルの先頭を --- で囲み、題名や日付を書いておく欄)は見出しに変わりました。<!-- --> で囲んで画面に出ないようにした AI 向けの隠しメモ(HTML のコメント)は、Google ドキュメントでは丸見えになりました。
使うなら、人が読んで直す文書だけを Google ドキュメントに回し、AI への指示書のように決まった書き方で読み取られるファイルはそこで保存しないことです。画面で付けるコメント(欄外の書き込み)は .md の中に入りません。保存で書き換わっても、上げたときの原文は変更履歴から見られます。
発表されたのは、.md のまま Google ドキュメントで開いて直せる機能。設定は要らない
マークダウンは、「# 見出し」「- 箇条書き」のように記号で書式を表す、ただの文字のファイルです。ChatGPT や Claude などの AI は、手順書や議事メモをこの形で書くことが多く、拡張子は .md になります。
これまで Google ドキュメントで .md を直すには、いったん Google ドキュメントの形式に取り込んで変換する必要がありました。Google の10月5日の案内は、その変換で書式が変わったり、コメントが消えたり、元の .md とは別のファイルになったりしていたと書いています。
今回からは、.md を Google ドキュメントで開いても形式が変わりません。画面には # や - の記号は出ず、見出しや箇条書きとして表示されるので、記号を知らない人も普段の文書と同じように直せます。Google ドライブの側でも、表やリンクを整えた見た目でプレビューできるようになりました。
案内によると、対象は Google Workspace のすべての契約と、個人の Google アカウントです。管理者が切り替える設定も、使う人が入れる設定もありません。Google Workspace の契約には10月5日から最大15日かけて順に届く形で、個人アカウントの届く時期は書かれていません。i-Style の個人アカウントには、10月30日の時点で届いていました。
マメ
うちは8人の会社で、手順書は AI に書かせて Google ドライブに置いています。でも .md の記号を読めるのは私ともう1人だけで、ほかの6人は開くと「読めない」と言います。これは関係ありますか。
ホク
関係があります。ドライブで .md をダブルクリックすると、記号ではなく見出しや表の形で開くので、6人も普段の文書と同じように直せます。置き方は今のままで始められます。ただ、AI に頼む書き方は少し絞ったほうが安全です。
マメ
直したあとは、私がまた AI に渡して続きを書かせています。この流れのままで大丈夫ですか。
ホク
中身は .md のまま残るので、AI はそのまま読めます。ただ、保存すると記号の書き方が少し変わります。当社で試した手順書では、困る変化はほとんどありませんでした。先頭にフロントマター(題名や日付の欄)や AI 向けの隠しメモを書いていると、そこが崩れたり見えたりします。
同じファイルでも、ドライブのプレビューと Google ドキュメントで出方が違う
i-Style では10月30日の朝、AI の下書きによく出る書き方(見出し・箇条書き・表・チェックリスト・リンク・脚注など)に、フロントマターと隠しメモも足した小さな .md を作って試しました。隠しメモは、<!-- --> で囲んで画面に出ないようにした書き込みで、HTML のコメントとも呼ばれます。
Claude の Google ドライブ連携で個人の Google アカウントのマイドライブに上げ、Mac のブラウザでまずドライブのプレビューを開きました。プレビューの上には「マークダウン」と「プレビュー」の切り替えがあり、記号のままの中身と整えた見た目を行き来できます。そこから右上の「Google ドキュメントで開く」を押しました。ヘルプは、ドライブで .md をダブルクリックして開く手順を案内しています。
Google ドキュメントの画面では、題名の横に「.MD」の印が付きます。URL に入るファイルの ID は元の .md と同じままで、写しは作られていませんでした。やってみると、同じファイルでも2つの画面で出方が違いました。
| 書き方 | ドライブのプレビュー | Google ドキュメント |
|---|---|---|
| 見出し・箇条書き・表 | 記号が消え、整った見た目で出る。表の右寄せ・中央寄せも効く | 記号が消え、整った見た目で出る |
| チェックリスト | ただの箇条書き。済みかどうかが見えない | 押せるチェック欄になる |
| 脚注(文末の補足) | 本文に「^1」の文字が残り、補足の文が出ない | 上付きの番号と、末尾の補足 |
| フロントマター | 横線と、題名・日付を並べた見出しの1行になる | 横線と、題名・日付を並べた大きな文字の1行になる |
| 隠しメモ・HTML のタグ | 隠しメモは隠れる。タグは書式として効く | 黒い帯の中に文字が出て、丸見え(タグも同じ) |
この表は、開いたときの見え方の違いです。ファイルの中身が書き換わったのを確かめたのは、次の章の、直して保存したあとです。
読む人にとって大きいのは、チェックリストの違いです。ドライブのプレビューだけを見ると、済んだ項目も済んでいない項目も、同じ黒丸(・)の箇条書きに見えます。確認の進み具合を見せたい文書は、Google ドキュメントで開いて見るほうが確かです。
一方、隠しメモはチェックリストと反対の結果になりました。AI への申し送りを隠しメモで書いておくと、プレビューでは見えないのに、Google ドキュメントでは誰にでも読める状態で出ます。社内向けのメモでも、そのまま取引先へ共有すると相手に見えます。
直して保存すると、.md の書き方が一部書き換わる
次に、Google ドキュメントの画面で3か所を直しました。文の末尾への1文の追記、チェックリストの1つにチェック、表の単価を30,000から35,000へ。保存されたあとの .md を取り出し、元のファイルと1行ずつ突き合わせました。
直した3か所は、どれも .md に入っていました(追記した文だけは、後ろの章で書く理由で1文字抜けています)。ただ、直していない所にも次の変化が出ていました。
| 元の書き方 | 保存後 | 困る場面 |
|---|---|---|
| フロントマター | 「## title: …」の見出しに変わる | その欄から題名や日付を読むブログのシステムやメモアプリが、読み取れなくなる |
| 箇条書きの行 | 行末に空白が2つ付く | 直す前と後の違いを比べると、箇条書きの行が全部書き換わったように見える |
| 隠しメモ・HTML のタグ | ただの文字として残り、それぞれのあとに (空白を表す記号)の行が足される | ファイルに、元に無い行が増える |
ほかにも、手順書の見た目には出ない細かい記号の書き換えがありました。ふつうの手順書では気にしなくて構いません。表の右寄せ・中央寄せは、指定の記号の書き方が変わっただけで、開き直した画面でもそのままでした。
人が読んで直す手順書では、ここで困るものはほとんどありません。見出しが1回だけ普通の段落に戻った件(後ろの章で書きます)を除けば、保存後に開き直した画面でも、見出しと表は同じ形で出ました。
困るのは、ブログのシステムやメモアプリが、決まった書き方を前提に読み取る .md です。フロントマターは、そうしたシステムやアプリが題名・日付・タグを読む欄です。ここが見出しに変わると、題名も日付も受け取れなくなります。AI への指示書(返信文の書き方など、毎回 AI に読ませる決まりごとのファイル)は、直すと箇条書きの行が全部書き換わった扱いになり、本当に直した所がどこか見分けにくくなります。
Google のヘルプも、Google ドキュメントの機能の一部は .md では使えないと書いています。HTML の書式は書式なしの文字に変わり、文字の色・ハイライト・文章の配置(右寄せなど)は消える、という内容です。隠しメモがただの文字として残ったのは、この扱いに沿った結果と読めます。
コメントは .md の中に入らない。変更履歴には取り込んだときの原文が残る
Google ドキュメントの画面で、冒頭の説明の段落にコメント(欄外に付ける書き込み)を1件付けました。保存後の .md を取り出すと、コメントを付ける前と1文字も変わっていません。コメントはファイルの中ではなく、ファイルの外で管理されています。
そのため、.md をダウンロードして AI に渡すだけでは、人が付けたコメントは AI に届きません。当社が使っている、Claude を Google ドライブにつなぐ機能で同じファイルを読ませたときは、コメントの本文と、どの文に付いたかが一緒に返ってきました。コメントまで AI に読ませたいなら、.md を渡すのではなく、このようにコメントも一緒に読める連携を通して読ませます。
使っている AI サービスでできるかは、コメントを1件付けた試験用のファイルを読ませ、コメントの中身が返ってくるかで確かめられます。返ってこなければ、コメントの内容は人が本文に書き写してから渡します。
変更履歴は、メニューの[ファイル]→[変更履歴]から開けます。開くと、直した版の下に、上げた時点の版が「.markdown 形式でインポートされました」(.md を取り込んだという意味です)という表示つきで並び、「原文を表示」が付いていました。保存で書き換わってしまっても、上げたときの原文はここから見られます。
うまくいかなかったこと:見出しが1回だけ普通の段落に戻り、最初の入力で1文字抜けた
保存の前に見つけた隠しメモの件のほかに、困ったことが2つありました。
1つは、保存後に「## 3. チェックリスト」の見出しの書式が外れ、普通の段落に戻ったことです。チェック欄を押すだけの小さい別のファイルで同じことを試すと起きず、原因は分かりませんでした。起きたのは1回だけですが、直したあとは見出しを目で確かめることにしています。
もう1つは、初めて文字を打ったときに出た注意です。画面には「マークダウンでは一部の書式設定がサポートされていません」と出ました。注意に並んでいたのは、スマートチップが文字かリンクになる、HTML の書式が書式なしの文字になる、文字の色・ハイライト・配置が消える、の3つで、ヘルプと同じでした。HTML を含まない小さい別のファイルでは出ませんでした。
この注意が出たときに、打っていた文の1文字が抜けました。試験は画面を自動で操作して打ったため、人の手でも起きるかは未確認です。初めて開く .md では、注意を閉じてから書き始めると安心です。
中小企業で使うなら、人が直す文書だけを回し、AI に書かせる書き方を絞る
試した結果から、使い道は人が読んで直す文書に絞るのが現実的だと見ています。手順書・議事メモ・提案の下書きのように、AI が書いて人が直し、また AI が続きを書く文書です。見出し・箇条書き・番号つき・表・チェックリスト・リンクで書いておけば、直して保存しても、見出しが1回戻った件を除いて形は残りました。直したあとは、見出しの書式が残っているかだけ目で確かめます。
一方、フロントマターや隠しメモは、保存で書き換わったり見えたりします。AI への頼み方に一言足しておくと、手戻りを減らしやすくなります。たとえば「ファイルの先頭に --- で囲む欄(フロントマター)と、<!-- --> のコメントは使わず、見出し・箇条書き・表だけで書いてください」です。AI への申し送りは、隠しメモにせず本文に見える文で書くか、Google ドキュメントのコメントで残し、コメントまで読める連携で AI に読ませます。
マークダウンの記号に慣れていない人に直してもらうときは、最初に出る注意を閉じてから書き始めてもらいます。
反対に、フロントマターを持つ記事の原稿や AI への指示書は、Google ドキュメントで開いて直さないほうが安全です。直すと自動で保存され、中身が書き換わります。開くだけで書き換わるかは確かめていないので、見るだけならドライブのプレビューにします。直すときは、そのファイルをいつも使っている編集ソフトで開いてからにします。
人に渡し方を分けておくと、渡す側が迷いません。読んでもらうだけなら、ドライブのプレビューか、読みやすいページにして URL で送る。直してもらうなら Google ドキュメントです。当社は読むだけの相手に、自社の共有ツールで作ったページの URL を送っています(HTML ファイルをリンクにする仕組みの回)。
まとめ:人が直す文書は Google ドキュメント、機械が読む .md はそこで直さない
冒頭の「AI の手順書を社内の人にそのまま直してもらえるか」には、見出し・箇条書き・表で書いた文書なら直してもらえる、と答えます。
試すなら、手順書1本で次の順に通してみます。AI に .md で書かせて保存し、Google ドライブに上げる。記号に慣れていない人に編集できる形で共有し、Google ドキュメントで開いて直してもらう。直したあとの .md をダウンロードして AI に渡し、続きを書かせる。画面のコメントも読ませたいときは、コメントまで読める連携で読ませる。ここまで通れば、社内の流れに乗るかが分かります。
確かめた資料と、10月30日に試せなかったこと
公式の記述は、2026年10月30日に Google Workspace Updates(10月5日)、Google Developers Blog(10月26日)、Google ドキュメントのヘルプ(.md の表示と編集の項)の本文で確認しました。提供の範囲や画面は変わることがあります。
i-Style の実測: 2026年10月30日8時27分〜31分に、個人の Google アカウントのマイドライブへ Claude の Google ドライブ連携で試験用の .md 2つ(1つ目は1,256バイト、2つ目はチェック欄だけの切り分け用)を上げ、Mac のブラウザでドライブのプレビュー・Google ドキュメントで開く・3か所の直し・コメント1件・変更履歴を通しました。保存後の .md(1,340バイト)は元のファイルと1行ずつ突き合わせ、Google ドキュメントでも開き直して見ています。入力は画面を自動で操作して行いました。試せなかったこと: 提案モード、複数人での同時の編集、Google Workspace の管理画面、スマホのアプリ、大きいファイル、AI の側から本文を書き換えること。
Google Workspace Updates(2026年10月5日)/Google Developers Blog(2026年10月26日)/Google ドキュメントのヘルプ
i-Styleに相談する
i-Styleの「まるっとAI」では、AI活用支援のひとつとしてお手伝いできます。始めやすいのは次の2つです。1つは、AI に書かせる手順書の書き方を、社内で直しやすい形にそろえること。もう1つは、AI が書いて人が直し、また AI が続きを書く流れを、使っている Google ドライブの中で組むことです。
お問い合わせページへ arrow_forward相談するほどでもなければ、右下のチャット窓口で「AI の手順書を社内で直したい」と聞くところからでも始められます。