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EmbeddingGemma 2は日本語の文書検索に使える?|自社ブログ208本をMacで試すと、題名の言葉を避けた質問でも60%で正解の記事が1位。全文を4本ずつ処理させた途中でMacが強制再起動

「社内の資料を AI で探せるようにしたい。でも、文書を外に出すのは不安だ」。EmbeddingGemma 2 のような無償公開のモデルを調べていると、ここが気になります。i-Style のブログ208本を手元の Mac mini で検索して試すと、記事の題名の言葉を避けて聞いた質問でも、60%で正解の記事が1位に出ました。5位以内なら83%なので、候補を並べて人が開く使い方なら試す価値があると見ています。

EmbeddingGemma 2 は、Google が2026年10月6日に開発者向けの案内を公開した、文書を探すための AI モデルです。文章で答えを書くモデルではありません。

今回試したのは題名の付いたブログ記事で、社内の文書そのものではありません。自分の会社の文書で同じ結果が出るかは、この試験では分かりません。その条件と、検証の途中で Mac が強制再起動した失敗も合わせて書きます。

lightbulb

先にまとめ

この記事を読むとわかることは、EmbeddingGemma 2 が日本語の文書探しにどこまで使えるかと、Mac で試すときの設定です。i-Style のブログ208本で、題名の言葉を避けて作った質問30問を試すと、18問(60%)で正解が1位に、25問(83%)で5位以内に出ました。今回の試験用に書いた簡単なキーワード検索では、1位は13問(43%)です。答えを1つだけ自動で出す使い方はまだ早く、候補を5件並べて人が開く形が現実的だと見ています(この使い方自体は未検証です)。

失敗もありました。記事の全文を4本ずつ渡した途中で、Mac が強制再起動しました(他の作業も並行して動いていました)。800字ずつに分けて1個ずつ、GPU にも上限を付けて渡すと、約3分で失敗なく終わりました。全文を処理できた190本に絞って比べると、全文で渡しても分けて渡しても、精度に大きな差はありません。

モデルは最初にダウンロードしたあと手元の Mac で動きますが、外への通信をすべて確かめたわけではありません。社内の文書やスキャンの PDF でも試していません。始めるなら、文書100〜200件と、正解を先に決めた質問30問ほどを用意し、自社の文書で採点するところからがよいと考えています。

EmbeddingGemma 2 は文書を探す部分を受け持つ無償公開のモデル。答えの文章は作らない

文章や画像を数字の並び(ベクトル)に変える処理を「埋め込み」と呼びます。質問も文書も同じ形に変えて近いものを探すので、言葉が一致していなくても見つけられることがあります。

EmbeddingGemma 2 は答えを書かないので、社内の資料を読ませて AI に答えさせる仕組み(RAG)では、資料を探す役を受け持ちます。答えを書く役には別のモデルが要ります。

ライセンス(利用の条件)は Apache 2.0 で、PC Watch は商用利用も認められると伝えています。モデルカード(モデルの説明書)は、Gemma の禁止利用ポリシーに従うことも求めているので、使う前に両方の原文を確かめてください。モデル自体に料金はかかりませんが、動かす機材と電気は別です。

気になるのは日本語です。公式のモデルカードでは、多言語の試験の得点は61.36で、前の版の61.15とほぼ同じでした。PC Watch の記事によると、一回り大きい他社のモデルの得点は65.5で、EmbeddingGemma 2 の61.36は届きません。どちらも多くの言語をまとめた得点で、日本語だけの得点ではありません。だから、手元の文書で確かめることにしました。

マメ

うちは8人の会社で、見積書や手順書が共有フォルダに3,000件ほどあります。この話は関係ありますか。

ホク

関係はありますが、今回の数字をそのまま当てはめることはできません。試したのは題名の付いたブログ記事で、見積書やスキャンの PDF では試していません。

マメ

担当は私1人で、使えるのは週に2時間くらいです。まず何を用意すればいいですか。

ホク

文字で読める文書を100〜200件と、探したいことを書いた質問を30問ほどです。どの文書が正解かを先に決めておきます。試す順番は、数字を見たあとで書きます。

何から始める? をAIに聞く

採点は、実際の検索語119語と題名の言葉を避けた質問30問で行った

検索の対象は i-Style のブログ208本、合計約104万字です。記事を800字ずつ、前後を100字重ねて分け、それぞれに題名を付けて1,586個の断片にしました。使った Mac は Mac mini M4(メモリ32GB)で、他の作業も同時に動いています。

質問は2種類あります。1つ目は Search Console で、10月9日〜11月5日にクリックがあった実際の検索語です。1記事につき5語までに絞り、119語(49記事)を使いました。その語でクリックされた記事を正解にしています。

2つ目は、無作為に選んだ30記事に対して、題名の言葉をできるだけ避けて作った質問です(以下、言い換えの質問)。30問中11問は、「業務」「画面」のように「AI」以外にも題名と重なる語が残っています。語が残らない19問では13問が1位、語が残る11問では5問が1位でした。

たとえば「毎回読み込まれるルールファイルが肥大化して困っている」の正解は、CLAUDE.md を軽く保つ記事です。質問を作ったのは記事を書く側なので、社内の人が実際に打つ言葉とは違う可能性があります。

比べた相手は2つです。「全語一致」は、空白で区切った言葉がすべて入っている記事を出す方法で、ファイル検索に近い動きをします。「キーワード検索」は、質問と記事を2字ずつに区切り、重なる字の組を数えて点数にする方法(BM25)です。どちらも今回の試験のために書いた簡単なものです。表の数字は、市販の検索製品の成績ではありません。

言い換えの質問は、正解が1位に出る割合がキーワード検索の43%に対して60%だった

結果は次のとおりです。実際の検索語でも言い換えの質問でも、EmbeddingGemma 2 がいちばん多く正解を上に出しました。

探し方実際の検索語119語
(1位/5位以内)
言い換えの質問30問
(1位/5位以内)
全語一致64%/80%比較外(1文のままでは一致しないため)
キーワード検索73%/90%43%/57%
EmbeddingGemma 288%/97%60%/83%

差が大きいのは言い換えの質問です。全語一致は、空白のない1文のままでは文全体がそのまま本文にある記事しか出ません(30問とも結果なし)。語に分けて探していないので、言い換えの質問では比べていません。「AIによる検索回答からの流入を管理画面で確認する方法」では、EmbeddingGemma 2 は Search Console の記事を1位に出しました。キーワード検索では、同じ記事が46位でした。

外れもあります。EmbeddingGemma 2 では、「claude 相談」の正解の人生相談の記事が53位でした。同じ記事が「claude 人生相談」なら2位で、語によって差が出ています。言葉そのものを探すときは、キーワード検索が勝つ問題もありました。「codex プラス マイナス 意味」は、キーワード検索なら1位で、EmbeddingGemma 2 は10位です。

それなら両方を混ぜればよいと考えて、順位の逆数を足す方法(RRF)も試しました。実際の検索語の1位は EmbeddingGemma 2 だけのときと同じ105問(88%)で、言い換えの質問は18問から17問に減っています。今回の文書では、混ぜても1位は増えませんでした。

ここまでの数字は、処理が最後まで終わって初めて出せたものです。最初の設定では、その処理の途中で Mac が止まりました。

全文を4本ずつ渡した途中で Mac が強制再起動。800字ずつ・上限ありなら約3分で終わった

最初は記事の全文を4本ずつ、Mac の GPU(画像処理用の部品で、AI の計算にも使える)に渡しました。その途中、8時30分に Mac が強制再起動しました。記録では、検証に使った版の Python(3.12)の処理1つが、約40.5GBのメモリを使っていました(1GB=10億バイトで計算)。この Mac のメモリは32GBです。

同じ Mac で動いていた作業も止まり、一時フォルダに置いていた検証の環境も消えました。ほかの作業と並行していたので、原因をこの処理だけと断定はできません。ただ、メモリの上限を付けずに渡したのは、こちらの落ち度です。

作り直しでは、処理のメモリを毎秒見て8GBを超えたら止める仕掛けを付けました。ただ、GPU が確保した分はこの数字にほぼ出ないので、GPU には別に約5GBの上限を付けています(PyTorch の設定で、この Mac の推奨上限の2割)。渡し方を変えて試した結果が次の表です。メモリの測り方は行ごとに違うので、表の中に書いています。

渡し方結果メモリ
全文を4本ずつ(上限なし)途中で強制再起動Python の処理で約40.5GB
全文を1本ずつ(上限あり)206秒。208本中18本は失敗GPU の確保が最大4.96GB
800字ずつ分けて1個ずつ(上限あり)1,586個を198.5秒。失敗なしGPU の確保が終了時に2.68GB

全文を1本ずつ渡したときの失敗は、長い本ほど増えました。短い順に渡すと、最初の40本は失敗なし、最後の8本は5本が失敗です。GPU の確保が上限の約5GB付近に達した区間から失敗が出始めました。

失敗した本のうち4本は、単独で渡すと成功しました。前の本を処理した分の GPU のメモリが積み上がっていたことが原因かもしれませんが、エラーの文面を残しておらず断定はできません。

CPU(パソコンの計算を担う部品)だけで動かすと、渡す文章が長いほど時間が急に伸びました。トークンは AI が文章を数える単位で、いちばん長い記事では1文字あたり約0.55トークンです。その記事を、渡す長さを変えて1回ずつ測ると(CPU 4スレッド)、457トークンで3.0秒、7,088トークンで425秒でした。長さが約16倍で、時間は約140倍です。長い文章をそのまま渡すと、時間の面でも不利です。

では、分けると精度は落ちるのでしょうか。表の精度は分けて渡した208本の結果です。全文を処理できた190本で、正解もその中にある問題に絞ると、言い換えの質問の1位は全文18問・分割16問(27問中)、実際の検索語は全文87問・分割89問(100問中)でした。分けるのは精度のためではなく、途中で止めずに最後まで終わらせるためと考えています。

小さな会社が試すなら、文書100〜200件と質問30問ほどを先に用意する

ここまでの数字は、題名が付いていて、冒頭に要約があるブログ記事で出たものです。題名や書き方のそろっていない文書では試していないので、1位に出る割合が上がるか下がるかは分かりません。自社の文書で採点するしかありません。

最初に、文字で読める文書を100〜200件選びます。次に、探したいことを30問ほど書き、どの文書が正解かを先に決めます。30問だと1問で約3ポイント動くので、数ポイントの差は見分けられません。質問は、できれば文書を書いた人とは別の人に、普段の言葉で書いてもらうのがよさそうです。今回の質問は記事を書く側が作ったので、そこが弱い点でした。

動かすときは800字ずつに分けてメモリの上限を付け、結果は5位以内まで見る

モデルに文書を渡すときは、800字前後に分けて1個ずつ渡し、メモリの上限も付けます。今回の Mac(32GB)では、処理のメモリが8GBを超えたら止める仕掛けと、GPU の約5GBの上限を付けました。メモリの少ない Mac で同じ値が使えるかは試していません。仕事で使っている Mac で試すなら、他の作業を止めてからにしてください。

今回の手順は sentence-transformers を Python から動かすので、Python を扱える人が要りました。文字だけの設定でも、画像用の部品(Pillow・torchvision)を入れないと読み込めませんでした。公式は Ollama や LM Studio でも動かせると案内していますが、そちらは試していません。社内に扱える人がいなければ、文書と質問の用意までを担当者が進め、実行は頼める人に任せる形でも始められます。

数字の並びは768個が標準で、128個まで短くできます。公式の案内では128個でも文字とコードの品質の約90%が残るとされています。手元では、実際の検索語の1位は105問から99問とわずかな減りでしたが、言い換えの質問の1位は18問から11問に減りました(物差しが違うので単純には比べられません)。

256個なら言い換えの質問は16問です。1,586個の断片すべてを768個の数字のまま持っても、数字の並びだけなら1個4バイト(float32)で計算上4.87MBです。この規模なら、短くする必要は薄いと見ています。

結果は1位だけで決めず、5位以内まで見てください。候補を人が開いて選ぶ形なら、そこに入るかが目安になります。

文書を外に出したくない場合は、モデルを最初にダウンロードするとき以外に Mac から外へ出る通信がないかを、担当者と確かめてから始めてください。今回はダウンロード元への接続を止める設定(環境変数 HF_HUB_OFFLINE=1)で動きましたが、外への通信をすべて確かめたわけではありません。

確かめた資料は Google の案内とモデルカード、PC Watch の記事、Mac mini の測定記録

モデルの説明は、Google Developers Blog「EmbeddingGemma 2: The Developer Guide」(2026年10月6日)と、Hugging Face のモデルカードを、2026年11月6日に原文で読みました。他社のモデルの得点は、PC Watch の記事(2026年10月10日)に載っていた数字を同じ日に読んで確かめました。自分たちで比べたわけではありません。

i-Style の数字は、2026年11月6日の朝に Mac mini M4(メモリ32GB)で測ったものです。時間は他の作業と並行した1回の測定で、目安です。処理には sentence-transformers 6.2.0 を使いました。検索の試験は画像と音声の部品を読み込まない文字だけの設定で、画像の試験だけ音声を外した文字と画像の設定です。

試せなかったことは、スキャンの PDF、音声、動画、社内の文書、他社のモデルとの比較、メモリの少ない Mac です。画像は、記事に載せている図40枚を、図の説明文で探す簡単な試験をしただけです(40枚中19枚が1位)。写真や書類は試していません。検索の結果を人が読んで役に立ったかも測っていません。この記事の点数は、正解の記事が何位に出たかだけを数えたものです。

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