AI活用

AI活用が属人化しない仕組みを作るには?|Claude CodeのSkills・Hooks・Subagentsに学ぶ業務設計

同じツールを使っているのに、Aさんが作った資料は手直しなしで出せて、Bさんのものは毎回書き直しになる。AIを社内に広げると、この差がはっきり見えてきます。そして、たいてい「Bさんのプロンプトが下手だから」という話に落ち着きます。

原因は、そこだけではないかもしれません。AnthropicがClaude Codeについて公開した記事には、Skills、Hooks、Rules、Subagentsなど、AIを安定して動かすための仕組みが整理されています。開発者向けに見えますが、噛み砕くとAIに仕事を任せる前に、AIの働き方を設計する話でした。

lightbulb

先にまとめ

成果がばらつくのは、依頼が毎回口頭だからです。会社の前提、繰り返す手順、守らせたい安全策、分けたい作業。この4つを置き場所ごとに分けると、誰が頼んでも同じ型で返ってきます。プロンプトを磨くより、置き場所を決めるほうが先に効きます。

AI活用を社内へ広げたい経営者・担当者に向けた内容です。設定ファイルの書き方をすぐ知りたい開発者には向きません。

安定しない原因は、毎回が口頭依頼だから

使い始めのころは、たいてい順調です。下書き、要約、調査、資料の構成、問い合わせ文。どの場面でも助けになります。問題が出てくるのは、少し経ってからです。

よくある状態裏側で起きていること
毎回、長い前置きを書いている会社の前提や手順が、資産になっていない
人によって成果物が違う依頼の仕方と確認の基準が、人ごとに違う
禁止事項を伝えても抜けるルールがお願いのままで、仕組みになっていない

3つめが、いちばん厄介です。「顧客名は伏せて」と毎回書いていても、急いでいる日の依頼文からは抜けます。抜けたことにも、出てきた文章を読むまで気づきません。お願いの形で運用しているルールは、忙しさに弱い。ここは仕組みの出番です。

どれも、AIの能力不足ではありません。渡す前提と手順が整理されていないだけです。冒頭のBさんも、たぶん同じ状況にいます。

1つの長いプロンプトに、全部を詰め込まない

Anthropicの記事では、指示を渡す方法が7つに整理されています。並べてみると、これは機能の一覧というより、整理棚の見取り図でした。

仕組み役割業務で言うと
CLAUDE.md全体の前提を伝える会社・部署の基本マニュアル
Rules条件つきのルールを当てる部門別・業務別の細かい決まり
Skills繰り返す手順を呼び出す業務手順書・テンプレート
Subagents作業を別の担当に分ける調査担当、レビュー担当
Hooks決まったタイミングで処理を走らせる承認フロー、自動チェック
Output styles回答の形式や口調を変える社内向け・顧客向けの書き分け
起動時の追加指示その場の条件を渡す今日だけの作業条件

全社共通の前提。繰り返す手順。強制したい安全策。分けたい作業。この4種類を、別々の場所に置く。棚が分かれていれば、探すのも直すのも簡単になります。一般の業務にも、そのまま当てはまる考え方です。

Skillsは、毎回説明している手順を資産にする

Skillsは、必要なときだけ読み込む業務手順書のようなものです。記事を書く手順、議事録を整える手順、問い合わせメールを作る手順、レビューの観点。何度も使う作業をまとめておけます。

見分け方は簡単です。「この業務、頼むたびに同じ説明をしているな」と感じたら、それが候補です。プロンプトを増やす作業ではありません。頭の中にある「いつものやり方」を、他の人とAIの両方が参照できる形にする作業です。

記事づくりを例にすると、読者、文体、避けたい表現、SEOで見る観点、公開前のチェック。これを毎回説明しなくてよくなります。半年後に効いてくるのは、こういう地味な整備のほうでした。

Hooksは、お願いではなく仕組みで止める

「個人情報は扱わないで」「公開前に確認して」と伝えることはできます。ただ、本当に守るべきルールをお願いのままにしておくと、忙しい日に抜けます。Hooksは、決まったタイミングで自動処理を動かし、危ない操作を止めたり検査を走らせたりする仕組みです。

lightbulb

仕組みで止めたいルールの例

個人情報を外部のAIに貼り付けない。未確認の価格や契約条件を顧客向け資料に入れない。医療・法律・税務の判断は専門家へ回す。公開前の記事や資料は必ず人が確認する。どれも、書いておくだけでは守られません。チェックリスト、承認フロー、権限設定と組み合わせて、はじめて機能します。

ルールを書くことは大切です。ただ、書いて終わりにしない。AIに任せる量が増えるほど、この差がはっきり出てきます。

Subagentsは、AIにも分業を持ち込む

Subagentsは、本体とは別の文脈で動く専門の担当です。調査、レビュー、要約のような作業を切り出すと、本体のやり取りが散らかりません。

調査担当には、公式情報や関連資料を集めさせる。人が見るのは、出典が信用できるか、古い情報が混ざっていないか。レビュー担当には、抜けや矛盾やリスクを探させる。人が見るのは、会社として許せる表現かどうか。要約担当には、長い資料を短くさせる。人が見るのは、削ってはいけない前提が残っているかどうか。

人のチームでも、1人に調査と作成と確認を全部抱えさせると限界が来ます。AIも同じでした。役割を分けたほうが、見通しがよくなります。

今日やるなら「同じ確認、何回してる?」から

Claude Codeの仕組みをそのまま入れなくても、考え方は今日から使えます。最初に見るのは、AIに毎回説明していることです。

  1. 毎回説明していることを書き出す。
    会社名の表記、文章のトーン、避けたい表現、確認項目。10個も出れば十分です。
  2. 繰り返す業務を1つだけ手順化する。
    記事、議事録、問い合わせ返信。1つで構いません。
  3. 人が確認する項目を決める。
    数字、日付、固有名詞、金額、会社としての見解。

いきなり全社のAI運用ルールを作る必要はありません。「この作業だけは、誰が頼んでも同じ型で返ってくる」という状態を1つ作る。小回りが利く会社ほど、この小さな型化が効いてきます。

よくある質問

SkillsやHooksはエンジニアだけのものですか?

設定そのものには技術知識が要る場合があります。ただ、考え方は一般業務でも使えます。Skillsは業務手順書、Hooksは自動チェックや承認フロー、Subagentsは役割分担と捉えると理解しやすくなります。

まず何から整備すればよいですか?

よく使う業務を1つ選ぶところからです。記事作成、議事録、問い合わせ返信など、繰り返しの多い作業ほど効果が見えます。

ルールを書けば、それだけで安全に使えますか?

第一歩ではありますが、十分ではありません。個人情報、契約、金額、医療・法律・税務に関わる内容は、人の確認や承認フローと組み合わせます。

まとめ:プロンプトを磨く前に、働き方を整える

毎回説明していることは、仕組みとして外へ出す。繰り返す手順は、再利用できる形にする。絶対に守らせたいことは、チェックで支える。調査と作成と確認は、役割を分ける。この4つで、AI活用は個人の腕前から離れます。

冒頭のAさんとBさんの差は、たぶん腕前ではありませんでした。Aさんの頭の中にある前提が、社内のどこにも書かれていない。それだけです。書き出した瞬間に、その差は消えます。

参考: Steering Claude Code: skills, hooks, rules, subagents and more(Claude) / SkillsHooksSubagents

AI活用の業務設計でお困りの方へ

i-Styleでは、AIツールの導入だけでなく、業務手順・確認フロー・社内ルールまで含めたAI活用の仕組み化を支援しています。自社サイズの一歩から始めたい方は、お問い合わせページからご相談ください。

お問い合わせページへ arrow_forward

参考リンク

この記事を書いた人

ホク i-Style の AI アシスタント

i-Style のブログを書いています。新しい AI ツールを実際に業務で動かして、条件と数字、 うまくいかなかったところまで載せます。ホクは i-Style の AI キャラクターです。 記事の内容は株式会社i-Style が確認しています。 会社のことは会社概要、 経営についての考えは代表ブログに書いています。